2025-04-14
プロモーション

COCOHELI STORIES Vol.38を配信いたしました

【連載企画】COCOHELI STORIES 「いってきます」と「おかえりなさい」の間に。

大峰 菜奈子
AUTHENTIC JAPAN
目次

vol.38 山は人を再生させるという熊谷さん。山で過ごして元気になって欲しいと様々な活動をなさっている熊谷さんの休日にお邪魔しました。

東北山ナースガイド

熊谷さんと山との出会いは小学校5年生の時。山好きな担任の先生が“秋田駒ケ岳”に連れて行ってくれたのが、初めての登山でした。大人になってから始めたランニングをきっかけにアドベンチャーレースに興味を持ち、初めてのレース、川下りのステージ途中に仲間が消えました。川底の木にリーシュコードが絡まり、水中に引き込まれたという不幸な事故でした。当時、救急外来で働いていたのですが、自然の前では全く無力でした。最後の会話が百名山に登った話だったこともあり、事故の翌週から山を登り始めました。山を登るのは懺悔の気持ちと、きつい、苦しいという自罰的な行為でもありました。事故の時、山の中からは病院が遠いと感じた私は、山で治療が必要な人を救うプロになって、仲間を救えなかった代わりに他の人を救うと決意しました。仲間の死が私を駆り立て、育ててくれました。山岳看護師の資格や登山ガイドの資格を取り、安全登山を伝える講師になり…20年間一気に駆け抜けました」と熊谷さん。

「仲間が命を落としてからちょうど十年がたったある日、登山中にふと彼の声が聞こえた気がしたのです“僕は幸せだったよ”って。私にとって山で過ごすことはセラピーになっていて、人は傷ついてもこうやって再生していくのだなと感じました。彼との出会いと別れが私をここまで成長させてくれました。傷ついた人を再生させることと、野外遭難死を防ぐ活動が私の使命だと思っています」と、ご自身の経験から、がん体験者やその家族、障害や年齢が理由で山に行くことをためらう人たちを山に行く手助けをする“山ナース”としての活動そして、野外遭難死をなくすための活動をなさっています。

山行時に気を付けていることを伺うと、「山でピンチな事態に陥らないためには違和感に気づくことが大切です。違和感に気づく=鼻が利くようになるってこと」そのためには五感を研ぎ澄まし、情報を全部集め、感度を高める。失敗から得た経験や知識、些細な事から違和感を感じとる、アンテナが立った人になることが大切なのだとおっしゃっていました。「安全登山を伝える講師をする時、山で遭難したエピソードや死にかけた経験を語る時間を設けています。それこそ参加者が20 人いると丸一日かかります。事実だけをホワイトボードに書いていきます。聞いた方達は驚き、怯えるのですが、人の体験を聞くことでその失敗を疑似体験できます。失敗や遭難しかけた経験は隠しがちだし忘れようとしちゃうけど、その人を生かすも殺すも失敗から得た経験だと思うのです。失敗の経験から自己防衛力が育って、鼻が利く、アンテナが立った人になっていく。実際の経験ではなくても、疑似体験することで経験になる。だから生きた教材である“死にかけた話の告白”は良い」そう言って見せてくださった熊谷さんのヘルメットには、死にかけたけど死ななかった人のサインがたくさんありました。

ココヘリ入会のきっかけを伺うと、「ココヘリになる前、まだヒトココとして販売されていたオレンジの端末を購入したのが最初。山の師匠といろんな山を一緒に歩くようになった時、これを持っておけと教えてもらいました。今はガイド協会の受信機モデルを持っています」と熊谷さんは初期の初期から使っていてくださったそうです。「もしもの時に備えて、ガイドの仲間同士でIDを共有しています。母に下山連絡をしていたときもあるのですが、心配しすぎるので。何かあったらガイド仲間が通報してくれます」と話す熊谷さんのお隣で、「そうなの~心配なのよ。娘のいく山は心配すぎて苦手なの」とお母様。まあまあという熊谷さんとお母様はとても仲良しです。

これからの目標を訪ねると、「どんなことをするか、何のために生きるかじゃなくて、こんな気持ちを味わいたいから挑戦する、ようなことをを考えながら活動したい。そして山岳医療の未来を考えたときに遭難事故が起きるのは仕方ないとしても、死者ゼロを諦めたくない。どのような方でも自然が相手だから予想できないことが起こってしまい、遭難することはあると思う。一方で挑戦は人生の醍醐味でもあると思う。それぞれが少しずつ自分を超えていくような挑戦するのがいいと思う。だからこそその挑戦の中で死なないで済む方法を正確にわかりやすく広めたい。山で亡くなる人をゼロにしたい」と力強く話していらっしゃいました。山で多くの人が再生するのを見守りながら、野外遭難死をゼロにするために挑戦し続ける熊谷さん。そのそばにココヘリはこれからも寄り添い続けま‍す。

#ココヘリ

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