2024-08-13
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“自由”と“快適”を求めるテント選び

13(トザン)日は【AJ MALLの日】特集|安全登山のための道具術

伊藤 俊明 
ライター・編集者

本好きが高じて企画・編集会社に勤務し、アウトドアをはじめとす る趣味の雑誌編集に関わったのちに独立。思う存分スキーを楽しむ ために夏に頑張るアリンコ系ライター・編集者。インタビューや道 具の紹介、解説記事が得意分野。

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目次

 登山では、必要なものはすべて自分で持ち運ばなければなりません。ゆえに山の道具は、それぞれが持つ本来の機能にくわえて、つねに「軽さ」と「コンパクトさ」が求められます。なかでも元々サイズが大きいテントは、居住性や耐候性と携行性を両立するために創意工夫を積み重ね、進化を遂げてきた道具です。

 中で人が立てるほど大きなキャンプ用のテントに比べて、登山やバックパッキングで使うことを想定してつくられたテントは、とてもコンパクトです。一人用、二人用のモデルは設営しても腰くらいの高さで、テントの中では座って過ごし、足を伸ばして横になり、荷物を置くのが精一杯という程度の広さです。快適とはお世辞にも言えませんが、車などに頼らず自分の力で運び、絶景の山中に居を構えられるのだと考えれば、「狭いながらも楽しい我が家」です。

ミニコラム:登山やバックパッキングで使うことを想定してつくられたテントは、とてもコンパクト

 山岳テントの明確な定義はありませんが、「山で遭遇する悪天候に耐えられること」と「人力で持ち運べること」が最低限の条件になります。ここでは、これらの条件を満たすテントを便宜的に山岳テントとします。

 山岳テントは構造によっていくつかのタイプに分類できますが、耐候性、居住性、携行性をバランス良く備え、初心者にも使いやすいのが自立式のダブルウォール・テントです。自立式とは、フレームの反発力を利用して、組み立てるだけでテントの形になるもの。地面が硬く、ペグが刺さりにくい場所が多い日本の山のテント場でも設営しやすいのが利点です。ダブルウォールとは、テント内部と外界を隔てる2枚の壁を持っていること。居住スペースであるインナーテントの外側に、防水のフライシートを被せて設営します。インナーテントは通気性を備えているために内壁が結露しにくく、入り口側のフライシートを大きくすることで「前室」と呼ぶ土間のようなスペースがつくれます。とくに雨の日は、この前室がとても重宝します。

ミニコラム:山岳テントは構造によっていくつかのタイプに分類できます

 今回は、自立式ダブルウォール・テントと自立式シングルウォール・テントの人気モデルを紹介します。シングルウォールとは、文字通り壁が1枚のモデル。防水性と透湿性や通気性を兼ね備える素材を使用して、雨を防ぎながら結露を軽減しています。その構造上前室をもたないモデルが多く、ダブルウォールのテントと比べると居住性では劣りますが、重量は抑えられ、また素早い設営・撤収が可能です。軽量化やスピードを重視するベテラン向けのモデルと言えます。

 ここで紹介するモデルはすべて、ココヘリ会員向けサイト内のAJ MALL(通販ページ)で購入可能です。会員がAJ MALLで買い物をすると購入価格の10%が次年度の会費に当てられます。つまり、大物のテントを購入すれば、次年度の会費は0円になります。来年もココヘリの利用を継続するつもりで、なおかつテントの購入を予定しているなら、検討の価値ありです。

ミニコラム:大物のテントを購入すれば、次年度の会費は0円に

欲しい機能を欲張りに追求 ファイントラック/カミナドーム

「日本の山岳環境で思う存分に使い倒せるテントが欲しい」という思いから開発された、4シーズン対応の自立式ダブルウォール・テントです。めざしたのは、トップレベルの軽さとコンパクトさにくわえて、高い強度、耐久性、広さも実現すること。一人用はペグ8本とガイライン、収納袋を含めても1280g。収納袋はよくある円筒形ではなく弁当箱のような直方体型で、パッキングの際もデッドスペースができにくくなっています。

 同じ長さの2本のフレームを交差させて設営するクロスドーム型ですが、天頂部のフレーム径を底部より太くすることで天頂部にいくに従って弾性(反発力)を高め、球体に近い緩やかなカーブの梁構造にしているのが特徴。側壁を立ち上げることでテント内に座ったときの頭上付近のスペースが広く、居住性に優れています。フライシートとインナーテント、ボトムのすべてに強度と耐摩耗性に優れる66ナイロンリップストップ生地を採用。設営時にテンションがかかるフレームに沿ったラインは高強度の「イザナステープ」で補強して耐風性を高めています。オプションも豊富で、吹き流し型の入り口とスカートを備えた積雪期用のスノーフライや、テント内に吊り下げて室内空間の保温性を高めるウィンターライナーなどを使用することで厳冬期にも対応できます。

カミナドーム1

重量:1,280g(インナー、フライ、フレーム=1,130g/ガイライン、収納袋、ペグ8本=150g)

サイズ:間口205×奥行90×高さ100cm(収納時=本体8×15×25cm、フレーム39cm)

素材:インナー=ナイロン100%、フライシート=ナイロン100%(PUコーティング)、フレーム=ジュラルミン

カミナドーム2

重量:1,460g(インナー、フライ、フレーム=1,310g/ガイライン、収納袋、ペグ8本=150g)

サイズ:間口212×奥行130×高さ105cm(収納時=本体8×17×27cm、フレーム39cm)

素材:インナー=ナイロン100%、フライシート=ナイロン100%(PUコーティング)、フレーム=ジュラルミン

ミニコラム:オプションも豊富

30年以上続くロング&ベストセラー プロモンテ/ライトウェイトアルパインテント VLシリーズ

 VLシリーズは、山岳エリアでオールシーズン使用できる強度を備えつつ軽さとコンパクトさを追求したテントです。1988年に登場し、基本コンセプトはそのままに、さまざまな改良を重ねて8代目となりました。改良の最大の目的は、強度を保ちつつ軽量化することです。「修理履歴を見直して弱点を見つけたら解消する」「数値だけにとらわれず多少重くなっても必要なら補強し、逆に必要以上に強度がある部分は軽量化してトータルで重量を抑える」、これを30年以上繰り返してきました。テントに使用するのは国産の生地で製造も日本国内。生産から検品まで一貫して熟練の職人が関わり、緻密で高品質、さらにアフターケアも万全です。

 インナーテントは素早く設営できる吊り下げ式。本体を点(フック)で支える吊り下げ式は風に弱いとされていますが、VLシリーズはフックとフックの間をメッシュパネルで繋いでフック部のみに負荷がかからないように工夫しています。フライシートとインナーテントのボトムには水分吸水率の低いポリエステルを使用。速乾性に優れ、濡れた時も重くなりにくい素材です。オプションで吹き流し型の入り口とスカートを備えた積雪期用の外張りがあり、厳冬期にも対応しています。

VL-18 4S(1人用)

重量:1,390g(インナー、フライ、フレーム=1,190g/ガイライン、収納袋、ペグ12本=200g)

サイズ:間口205×奥行90×高さ105cm(収納時=本体25×φ18cm、フレーム40cm)

素材:インナー=10Dナイロンリップストップ(通気撥水加工)、インナーボトム部=30Dポリエステルリップストップ(PUコーティング)、フライシート=20Dポリエステルリップストップ(PUコーティング)、フレーム=ジュラルミン

VL-28 4S(2人用)

重量:1,510g(インナー、フライ、フレーム=1,300g/ガイライン、収納袋、ペグ12本=210g)

サイズ:間口205×奥行120×高さ105cm(収納時=本体25×φ18cm、フレーム40cm)

素材:インナー=10Dナイロンリップストップ(通気撥水加工)、インナーボトム部=30Dポリエステルリップストップ(PUコーティング)、フライシート=20Dポリエステルリップストップ(PUコーティング)、フレーム=ジュラルミン

VL-28 4Sロング

重量:1,580g(インナー、フライ、フレーム=1,370g/ガイライン、収納袋、ペグ12本=210g)

サイズ:間口225×奥行120×高さ100cm(収納時=本体25×φ18cm、フレーム40cm)

素材:インナー=10Dナイロンリップストップ(通気撥水加工)、インナーボトム部=30Dポリエステルリップストップ(PUコーティング)、フライシート=20Dポリエステルリップストップ(PUコーティング)、フレーム=ジュラルミン

VL-38 4S(3人用)

重量:1,710g(インナー、フライ、フレーム=1,490g/ガイライン、収納袋、ペグ12本=220g)

サイズ:間口210×奥行150×高さ110cm(収納時=本体26×φ24cm、フレーム44cm)

素材:インナー=10Dナイロンリップストップ(通気撥水加工)、インナーボトム部=30Dポリエステルリップストップ(PUコーティング)、フライシート=20Dポリエステルリップストップ(PUコーティング)、フレーム=ジュラルミン

上級者向けモデルに快適性をプラス プロモンテ/シングルウォールアルパインテント VBシリーズ

 VBシリーズは、軽量でスピーディに設営・撤収できるシングルウォール・テントとして2019年に誕生しました。当初は前室なしのモデルでしたが、「前室付きのモデルがほしい」というユーザーの要望に応えて登場したのが、二人用のVB-22Zです。前室を設けることで、入り口を開けたときの雨の吹き込みを防ぎ、登山靴のようなテント内で使わないものを雨を避けながら外に置くことができるなど、小さいながらも有効なスペースが生まれます。

 前室部分にはダブルウォールのVLシリーズで実績のあるPUコーティングを施した20Dポリエステルリップストップを使い、入口パネルもVLと同じ仕様にしています。こうした工夫によって、旧モデルに対してわずか80gの重量増で「前室付きのシングルウォール・テント」が実現しました。本体前面をのぞく3面には東レと共同開発した独自の3レイヤー(高通気エントラント素材)を使用。裏地のトリコット素材は3レイヤーで従来常識とされていた20Dから7Dに変えて大幅な軽量化を実現しました。防水性と通気性を兼ね備えるこの素材は耐水圧4500mm 透湿性25,000g/㎡・24h(B-1法)で、内壁の結露を大幅に軽減しています。好評を受けて2021年にはソロ用のVB-12Zも登場しました。

VB-12Z 3S

重量:1,270g(本体、フレーム=1,090g/ガイライン、収納袋、ペグ9本=180g)

サイズ:間口205×奥行90×高さ105cm(収納時=本体28×φ18cm、フレーム40cm)

素材:本体=表地:20Dナイロンリップストップ/裏地:7Dナイロントリコット/ラミネート:高通気エントラント3レイヤー、本体ボトム部=30Dポリエステルリップストップ(PUコーティング)、前室部=20Dポリエステルリップストップ(PUコーティング)、フレーム=ジュラルミン

VB-22Z 3S

重量:1,370g(本体、フレーム=1,190g/ガイライン、収納袋、ペグ9本=180g)

サイズ:間口205×奥行120×高さ105cm(収納時=本体32×φ18.5cm、フレーム40cm)

素材:本体=表地:20Dナイロンリップストップ/裏地:7Dナイロントリコット/ラミネート:高通気エントラント3レイヤー、本体ボトム部=30Dポリエステルリップストップ(PUコーティング)、前室部=20Dポリエステルリップストップ(PUコーティング)、フレーム=ジュラルミン

(文=伊藤俊明 写真=岡野朋之)

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