【連載企画】COCOHELI STORIES 「いってきます」と「おかえりなさい」の間に。
vol.35 登山、キャンプ、カヤックやスキーなど、季節ごとにアウトドアを楽しむ寺田さんご一家。そんなご家族の休日にお邪魔しました。
山との出会いを伺うと、「大学時代に子供キャンプのボランティアを始めたんですが、その仲間たちと赤岳に登ったのが最初の登山です。次に甲斐駒ケ岳に弟と二人で登りました。北杜市に幼少期から訪れていたキャンプ場があり、そこから見える甲斐駒ケ岳はとても格好良く、いつか登ってみたいなと憧れていたんです。山小屋で一泊し、早朝からヘッドランプをつけて歩き始め、体力任せ一気に登りました。山頂は雲海が見えてとても綺麗でした」と寺田さん。
寺田さんは多方面で山のお仕事に携わっていらっしゃるそうです。「まず、自然体験活動として子供達を山に連れていく“ひの自然学校”。次に“リーブノートレース”という、環境に対するインパクトを小さくしてアウトドアを楽しむための環境倫理プログラムの普及活動です。そのほか、山岳遭難捜索活動団体LiSSでの活動、そしてWMAJの“野外災害救急法”の普及。救急車がすぐに来ることができないのが山ですが、病院にすぐ行けない環境で役に立つファーストエイドをはじめとする野外医療プログラムを学んで、山でのリスクを減らそうというものです。人間の体の構造を勉強し、どういうプロセスで弱っていくかを知り、その状況に正しく対処する知識やスキルがあればアウトドアにおけるリスクマネジメントになりますよね。ココヘリはデバイスで、僕たちは知識で。様々のものを積み重ねてリスクを下げ、命をつなぐ。そのために全ての登山者には野外救急法受講もらいたいですね。もちろんココヘリの携帯も」と寺田さん。「病院まで時間がかかるという観点では、意外とアルプスなどよりも里山が手強い。条件が良ければヘリでアプローチすれば30 分後には病院ということも在るけれど、里山での遭難はヘリが降りられないことが多いし、場所も特定しにくく陸路から入ると時間がかかる。登山者の中には「低山=イージーな場所」という感覚があるかもしれませんが、安全管理側からの視点では真逆で、里山こそ遭難時の捜索が難しい。ココヘリは里山ハイカーの方も役立つサービスだと思うし、そもそも登山道から離れる傾向がある山菜・タケノコ・キノコとりの人にも生きてくると思う」とおっしゃっていました。
ココヘリへ入会したきっかけを伺うと、「最初は、これ何だろうな?と半信半疑でしたが、生きていても、仮に死んでしまったとしてもすぐに見つけてもらえる。これは大事、必要だなと思いました。山の中では技術や経験だけではどうにもカバーできないことはあると思うので、ココヘリはそういう時のバックアップ。リスクマネジメントって何ですか?と考えると、安全に向かって道具や知識を積み重ねる。どこまで重ねれば安全っていうのはないわけですが、多いほうがいいにきまっている。自分の意識が無くなってしまい何もできないとか、意識はあるけれど、怪我して動けないなど、そうした時には申し訳ないけど、誰かに頼るしかない。山の中は電波圏外も多いので、ココヘリで位置がわかれば、探してくれる人の労力やリスクも下がるし家族の負担が減ると思う」と寺田さん。奥様にココヘリについて伺ってみると、「夫は仕事柄特に安全に配慮しているので、彼が戻ってこない時というのは余程の緊急事態だと思うんです。そんな時には救助に行っていただく方のリスクを少しでも下げたいので、こういったものを持っていた方が良いと思っています」とおっしゃっていました。寺田さんが山に向かう時に心がけていることを伺うと、「下山連絡は欠かさない。電波が入るところでは極力なんらかのSNSでログをつけたりして1つでも多くの手掛かりを残すように心がけています。妻には下山時刻までに連絡なければココヘリへ通報してね、と言っています。それと、ツェルト、ダウン、サバイバルシート、ファーストエイドキット、水を浄化できるもの等は欠かさないです。自分の分というよりも、何か起きているところに遭遇することを想定しているので荷物は多くなります」と寺田さん。寺田家の冷蔵庫には、ココヘリの捜索要請窓口の番号がしっかりと貼ってありました。
学生時代にアラスカの氷河キャンプに参加し、そこから毎日デナリを見て、(子供の時の甲斐駒ヶ岳と同様に)「あそこにいってみたい!」と思っていた寺田さんは2019年様々なご縁でデナリに登ったそうです。そんな寺田さんの次の夢は、「アコンカグアにチャレンジすること」だとか。奥様も「自分の人生だから後悔のないように過ごしてほしい」と応援してらっしゃいます。
「家族の年中行事で息子が0歳の頃から陣馬山に登っています。新緑の頃に毎年同じ場所で家族写真を撮るのが恒例になっていて、息子に行かないと断られるまで続けようと思っています」と寺田さん。寺田家の成長とチャレンジにココヘリは寄り添い続けます。
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