【連載企画】COCOHELI STORIES 「いってきます」と「おかえりなさい」の間に。


vol.54 長年親しんできた釣りをきっかけに山と関わり続けてきた古屋さん。人に喜んでもらうことを原動力に登山ガイドとして歩み始めた古屋さんと、その挑戦を温かく見守る奥様の日常にお邪魔しました。


古屋さんが山と出会った原点は、生まれ育った山梨県・河口湖です。「振り返ると、やっぱり富士山ですね。子どもの頃は毎日見ていたので、特別な存在だとは思っていなかったんです。でも地元を離れてからは、富士山を見ると懐かしくて。ふるさとを思い出させてくれる存在になっていました」そんな古屋さんが子どもの頃から夢中になっていたのは釣りでした。
「物心ついた頃から釣りをしていました。学校から帰ったらランドセルを置いて、そのまま湖へ行くような毎日でしたね。社会人になってからは渓流釣りや源流釣りに夢中でした。北海道へ転勤した時も釣り三昧でした」山へ入ることはあっても、目指すのは山頂ではなく魚のいる場所。本格的な登山を始めた当初は、今とは少し違う印象を持っていたそうです。「花にも興味ないし、山ご飯にも興味ないし、写真も撮らないし。ただただきつかったですね(笑)」そんな古屋さんが登山の魅力に気づいたのは、山の近くへ引っ越したことがきっかけでした。「せっかく山が近くにあるし登ってみようと思ったんです。そうしたら景色が本当に良くて、達成感もあった。登山って楽しいなと思いました。その後は沢登りやクライミングにも挑戦し、山岳会にも所属。山の世界は少しずつ広がっていきました。地図を見るのが好きなんです。大学で測量を勉強していたこともあり地形図を見るのが面白くて。子どもの頃から天気を見るのも好きでした。小学生の時にはラジオの気象通報を聞いて天気図を書いていたんですよ」そう話す古屋さん。釣り、地図、天気。子どもの頃から興味を持っていたものが、登山によってひとつにつながっていったそうです。



現在59歳。長年勤めてきた会社の定年が近づくなかで、これからの人生について考えたそうです。「定年してから慌てて何かを始めても遅いと思ったんです。それで、自分は何をしている時が一番幸せなんだろうと考えました。振り返るとお客様に喜んでもらえた時が一番うれしかったんです。『古屋さんに提案してもらって良かった』って言われることが本当に幸せでした。振り返ると、会社で受け継がれてきた『利他の精神』という考え方が根底にあると思います。若い頃はあまり意識していなかったんですが、いつの間にかそういう考え方が自然と身について、人に喜んでもらうことが自分の喜びになっているのかもしれませんね」古屋さんのその想いが、新たな挑戦へとつながりました。
「登山が好きで、お客様に喜んでもらうのも好き。それならガイドという仕事が一番合っているんじゃないかな、と思ったんです」そう話す古屋さんは、ガイド資格を取得した後も学び続けています。「野外災害救命法や温泉ソムリエの資格も取りました。全ての出発点はお客様の笑顔です。安心して山を楽しんでもらいたいし、温泉も喜んでもらいたい。そう思うと勉強も楽しくなるんです」現在平日は会社員、週末は登山ガイドとして活動する二足のわらじの生活を送っていらっしゃいます。


そんな古屋さんがココヘリへ入会したのは、ガイドになる前のことでした。「一人で山へ入ることが多かったので、何かあった時に見つけてもらうためです。家族に迷惑はかけられませんから。次の日の昼までに連絡がなかったらココヘリへ連絡してね、と伝えて山へ行っています」ガイドとして活動する今では安全について伝えることも大切にしています。「登山届の重要性を伝えています。ココヘリと登山届はセットですね。探す場所が分かるだけで全然違いますから」と話す古屋さん。
隣でお話を聞いていた奥様にもココヘリについて伺いました。「安心材料ですね。山のことはよくわからないので、決められた時間までに連絡がなかったらここにある番号に電話するように言われています」キッチンの壁には捜索要請窓口の番号がしっかりと貼られていました。

ご夫婦の将来の楽しみも教えてくださいました。「定年後は妻と四国遍路を歩こうと思っています。実はガイド資格を取ったあと、最初に案内したお客様は妻なんです(笑)。妻は一番のお客様ですからね」と笑顔の古屋さん。お互いを思い合うご夫婦の関係が伝わってくる瞬間でした。釣りから始まった山との縁。好きなことを学び続け、その経験を人の喜びにつなげていく古屋さん。定年後という新たな人生の節目を前にしながらも、挑戦を楽しむその姿は生き生きとしていました。
他者の笑顔を何よりの喜びとして、新たな挑戦を続ける古屋さんの山歩みに、ココヘリは寄り添い続けます。
#ココヘリ