【連載企画】COCOHELI STORIES 「いってきます」と「おかえりなさい」の間に。

.jpg)
vol.53 初めは「富士山に登り終えたら、それで終わり」と思っていた若林さん。今では山岳会の支部長として山の魅力を次の世代へつなぐ活動にも取り組んでおられます。そんな若林さんの日常にお邪魔しました。


若林さんが山と出会ったのは、富士山が世界文化遺産に登録された頃のことでした。「職場で“富士山に登ろう”という話になったんです。参加するのが上司ばかりだったので迷惑はかけられない。1年ほどかけて高尾山や丹沢などに通い、少しずつ体力をつけました」と話す若林さん。高校時代の合宿登山の記憶から、「山は大変なもの」という印象を持っていたそうです。「それで山は終わりだと思っていました。でもせっかく道具をそろえたので、“元を取ろう”というくらいの気持ちで山へ行くように。奥多摩や丹沢、山梨周辺など電車でアクセスできる山への日帰り登山が中心でしたが、慣れてくると一泊の山行も増えていきました。山へ行くと気持ちがリセットされるんです。いつの間にか休日の大切な過ごし方のひとつになっていました」

自分のペースで山を楽しんでいた若林さん。その関わり方を大きく変えたのが、山岳会との出会いでした。「職場の先輩から“山に登っているんだって?”と声をかけられました。後日社内便で山岳会の入会届が(笑)。推薦人にも話がついていて、入会する流れになっていました」思いがけない形で始まった山岳会との関わりは、若林さんの山の世界を大きく広げていきます。「しばらくすると、当時の支部長から“社会貢献委員会を担当する人がいないから頼むよ”と電話をもらいました。2年くらいならと思って引き受けたのですが、気が付けば支部長になっていました」所属する山岳会では、清掃登山、障がいのある方の登山サポート、登山教室、安全登山に関する講習、自然保護活動、子ども向け登山教室など、幅広い活動を行っています。「それまでは山頂を目指して無事に帰ってくることが山登りでした。でも山岳会に入って、いろいろな活動に参加するうちに、山との関わり方が大きく変わりました」山を楽しむだけでなく、山の自然を守ること。山を歩く人を支えること。そして、受け継がれてきた山の文化を未来へつなぐこと。若林さんにとって山岳会は、単なる趣味の集まりではなく、大切な学びと交流の場になっていったのです。


なかでも大きな存在となっているのが、経験豊富な先輩たちです。「登山計画の立て方や装備の考え方、安全への向き合い方など、本当にたくさんのことを教えてもらいました。今はアプリでコースタイムが自動的に表示されますが、それで十分とは限りません。このルートを自分たちが本当に歩けるのか、危険な箇所はどこにあるのかを調べ、計画を立てることが大切です。レスキュー講習や消防署の救命講習にも参加し、安全に関する知識を積み重ねています。山で一番大事なのは必ず帰ってくることです。そのために必要な装備を整え、行く山についてよく調べる。一緒に行く人の経験や力量を把握することも意識しています」経験だけに頼るのではなく、知識と準備によってリスクを減らす。その姿勢は、山岳会のなかで受け継がれてきた大切な教えです。
支部長となった今では、若い世代へ山の文化や歴史を伝えることも自身の役割だと考えています。「登山の本を読んだり、昔の登山家について知ったりするのも面白いんです。そうした文化的な魅力も、若い世代へ伝えていけたらと思っています。ネパールやパキスタンなど、海外の山にも足を運びました。現地の自然や文化、人との出会いによってさらに世界が広がりました。支部の20周年には、支部のみんなで海外登山へ挑戦したいと思っています」

若林さんがココヘリを知ったのは、山仲間からの紹介でした。「知人から、自分の居場所を知らせることができるサービスがあると聞き入会しました。当時は登山計画も紙が中心で、自分の位置を伝える手段が限られていました。万が一の際に居場所を知らせられる安心感があり、お守りのような感覚で持っています。帰りを待つ母には“もし帰ってこなかったらここへ電話してね”と話しています。仕組みをすべて理解していなくても、連絡先が分かっているだけで安心できると思うんです。万全の準備をしていても、山では予期せぬ出来事が起こる可能性があります。備えておくことが家族の安心にもつながると思っています」

「山岳会に入ったばかりの頃は戸惑うこともありましたが、関わってみると本当に楽しいんです。入っていなかったら、今のような活動には出会えていなかったと思います」ご興味ある方はぜひご連絡ください。
(日本山岳会:https://jac1.or.jp/・日本山岳会埼玉支部:shibu.jac1.or.jp/saitama/)
ひとりで山を歩く楽しさと、人と関わることで世界が広がる喜び。その両方を知り、山を守りながら、文化や安全への思いを次の世代へ手渡していく若林さん。山と人をつなぎ、新しい山の魅力を広げていく若林さんの歩みに、ココヘリは寄り添います。
#ココヘリ