【連載企画】COCOHELI STORIES 「いってきます」と「おかえりなさい」の間に。


vol.52 富士山に始まり、スノーボードや仕事、そして白馬での暮らしへとつながっていった井立さん。家族みんなスノーボードが大好き!という井立家の日常にお邪魔しました。

井立さんにとって、山との出会いは富士山だったそうです。「中学生の頃、仲間と『富士山に登ってみよう』と話し、電車とバスを乗り継いで五合目へ。夜に登り始め山頂で日の出を待つという、いわゆる弾丸登山でした。中学生だったので、体力だけはありました。山頂に早く着きすぎて、寒い中で何時間も日の出を待っていたんですが、太陽が出てきた瞬間にあたたかくなって、景色もきれいで……。その時の感動と、仲間だけで日本一高いところに登ったという経験は、今でも強く思い出に残っています」
と井立さん。

その後、井立さんの山との関わりは、スノーボードを中心に広がっていくことに。15、6歳の頃から滑り始め、若い頃にはカナダ・ウィスラーで過ごしたこともあります。帰国後、アウトドアやスポーツに関わる仕事をしたいという思いから、山の世界へ。「最初に配属された池袋の店舗で、山の装備や登山の基本を先輩からしっかり学びました。仕事で山の商品を扱う以上、自分で使ってみないとわからない。先輩に立山へ連れて行ってもらったり、南アルプスや谷川岳へ行ったりして登山の楽しさも知っていきました」そう話す井立さんは、今は「THE NORTH FACE GRAVITY HAKUBA」の店長として、観光で訪れる方から本格的に山へ向かう方まで、さまざまなお客様と向き合っていらっしゃいます。


「大切にしているのは、会話の中からその人に本当に合うものを見つけること。どの山へ行くのか、どんな滑りをするのか、何に困っているのかを丁寧に聞き取りながら、自身の経験も交えて提案しています。山の商品はたくさんあります。でも、その人に本当に必要なものは、会話しないとわからない。フリースがいいのか、ダウンがいいのか、ミッドレイヤーをどう考えるのか。自分が使ってきた経験も含めて、機能的なことをきちんと伝えたいと思っています」そう話す井立さん。

ココヘリ入会のきっかけについても伺いました。
「きっかけは、店舗で取り扱う立場として『自分も持っていなければ説明できない』と感じたことでした。人に勧めるものだからこそ自分自身も使う。何のために持つのか、どういうものなのか。自分も会員でいることで、お客様にも伝えやすくなる、そう思い入会しました」
と井立さん。

「山に入る時、基本的なことは絶対に守ります。登山届も出しますし、どこへ行くかは家族にも伝えています。バックカントリーには一人では行かないし、必ずビーコンも確認する。そういう積み重ねが大事だと思っています。ココヘリも、山を楽しむための大切な備えの一つ。安全のために特別なことをするというより、基本を一つひとつ丁寧に積み重ねる。その姿勢の中にココヘリがあります。万が一の時に、どこへ相談すればいいのかがわかっていること。行き先や登山届、発信機の情報を家族と共有しておくこと。山を楽しむ時間を支えるものとして、家族に心配をかけすぎないための備えでもあります」と話す井立さん。


井立さんが山の中で家族を思い出すのは、テント泊の夜。静かなテントの中で過ごす時間に、「今ごろ何をしているかな」と考えるそうです。息子さんとは、山が親子の大切な時間になっていて、年に一度ほど一緒にテント泊へ出かけるそうです。「一年で一番子どもと話す時間かもしれません。学校のことなどいろいろな話をします。山の中で二人だけになると自然と会話が増えるので楽しいですよ」と井立さん。白馬で暮らし、山の近くで育つ息子さんには、山を楽しむ力と同時に、山との向き合い方も伝えていきたいと井立さんは話します。「バックカントリーに連れて行くようになったのも、ただ滑るためではなく、地形の見方や危険の判断を実地で学んでほしいから。自然の中で遊ぶ自由さと、その裏側にある責任を、少しずつ伝えています」と話していらっしゃいました。

これからの目標を尋ねると、井立さんは「自分自身の大きな目標は、正直あまりない」と笑います。その代わりにあるのは、息子さんが山を安全に、そして思いきり楽しめるように見守り、伝えていくこと。ご自身も冬に気持ちよく滑り続けるためにトレイルランニングやフルマラソンで体力を維持しているそうです。「走るのが好きというより、冬のためですね。去年と同じように今年も気持ちよく滑れるよう、筋力や体力を維持したい。山も、滑ることも、これからも楽しんでいきたいです」
富士山から始まり、スノーボード、仕事、白馬での暮らし、そして親子の時間へ。井立さんにとって山は、挑戦の場であり、学びの場であり、大切な人と向き合う場所でもあります。白馬の山々とともに歩み、次の世代へ山の楽しさと安全を伝えていく井立さんの山時間に、ココヘリは寄り添います。
#ココヘリ