2026-01-07
安全登山学校

ココヘリ安全登山学校 実技講習「セルフレスキュー」

大峰 菜奈子
AUTHENTIC JAPAN
目次

学ぶことが、命を守る力になる|ココヘリ安全登山学校 セルフレスキュー実践講習

ココヘリ安全登山学校は、「強い登山者」を育てることを目的とした学びの場です。ここでいう強さとは、体力や経験の多さではありません。刻々と変わる自然の中で、状況を正しく捉え、無理をせず、仲間と連携しながら行動できる力。その力は、生まれ持ったものではなく、学びと経験によって誰もが身につけることができます。

今回の実技講習のテーマは「セルフレスキュー」。セルフレスキューとは、自分ひとりで問題を解決することではありません。事故やトラブルが起きたとき、救助を待つまでの間に、自分と仲間の安全を守り、次の行動につなげるための判断と行動の積み重ねです。その考え方を、座学と実技の両面から学びました。ココヘリ安全登山学校校長の近藤謙司氏が講師。数多くの事故・遭難現場を見てきた経験から語られる言葉は、理論だけでなく「現場ではどうなるのか」を具体的に想像させるものでした。

1日目

【座学:セルフレスキューの考え方】

集合してまずは座学。セルフレスキューの基本となる考え方を共有しました。事故は特別な人にだけ起きるものではなく、誰にでも起こりうること。だからこそ、技術や装備以前に「状況を判断する視点」を持つことが重要になります。

スノーシューで雪上を歩くところから実技はスタート。初めての参加者も経験者も、同じフィールドで感覚を共有しました。

続いて行われたのが、ビーコンの使い方。操作方法を覚えるだけでなく、実際の捜索を想定した流れの中で、どのように動き、どこで迷い、何を確認すべきかを体で学びました。取り出す動作、受信への切り替え、数字や矢印の読み取り。焦りが生まれると、簡単な操作ほど遅れにつながります。止まること、声に出すこと、確認し合うこと。捜索は個人作業ではなく、チームで行う行動であることを体感しました。

実際にビーコンを使って動いた足跡を振り返ることで、電波の出方を目で見て理解。それを知ることでより効率的にビーコンが使えるようになった参加者の皆さん。その後、プローブの使い方、雪の掘り方などを学んでいきました。最後に、遭難者チームと救助チームに分かれて実践的に練習。実際にやってみるとどう動くのが効率がいいのか、15分のうちに何をどのようにすれば生存率を上げることができるのかを繰り返し練習して身につけていきました。

【座学:雪と雪崩の仕組み】

夜の座学では、雪と雪崩の仕組み、生存時間、装備が果たす役割について学び、翌日の実技に向けて思考の土台を整えました。

2日目

【実技:スノーシューでフィールドに出て、雪を観察する】

2日目は、スノーシューで実際のフィールドに出るところから始まりました。目的は歩くことではなく、「雪を見る目」を養うことです。斜面の向き、風の影響、樹林帯と開けた場所の違い。同じ雪原でも、場所によって雪の性質は大きく異なります。参加者は踏み心地や沈み込み方、雪面の見た目を確かめながら移動し、数メートルごとの違いを自分の足で感じ取っていきました。

途中ではシャベルを使って積雪断面(スノーピット)を掘り、雪の内部を観察。積もった雪は一枚の塊ではなく、時間と天候によって重なった「層」でできています。結晶の形や層の境目、締まり具合を確認し、どこが弱点になり得るのかを読み取っていきました。雪は降ったあとも常に変化し続けています。積雪が薄いからといって、安全とは限らない。昨日まで安全だった場所が、今日も安全とは限らない。この前提に立ち、自分の目と感覚で判断する姿勢が、セルフレスキューにつながります。

【屋内実技:ロープワークと傷病者搬送】

昼食後、ロープワークと傷病者搬送について実技を行いました。使ったのは、特別な装備ではなく、携行しやすいロープと普段の装備です。結び目を覚えることが目的ではありません。緊張した状況でも確実に使えること、どんな場面で役に立つのかを理解することが重要です。

搬送実技では、引きずらない、無理をしない、負担を分散させるという視点を共有。ブルーシートを使ったり、ザックを使ったり、複数人いる場合の運び方や、1人で運ぶ方法など様々な方法で傷病者を運ぶ練習をしました。セルフレスキューとは、すべてを自分たちで完結させることではなく、次の救助につなぐための「現実的な選択」を重ねることだと学びました。

参加者の方は、「雪を見る視点が変わった」「仲間と同じ認識を持てたことが大きい」「知識が点から線につながった」「技術以上に、考え方が変わったことが大きな収穫だった」とおっしゃっていました。

【ココヘリ安全登山学校が大切にしていること】

学ぶことは、不安を増やすことではありません。判断の選択肢を増やし、落ち着いて行動できる力を育てること。それが、ココヘリ安全登山学校が目指す「強い登山者」です。ココヘリ会員の方であれば、どなたでも実技講習に参加できます。知識を知識のままで終わらせず、現場で使える力へ。定期的に実技講習のご案内をメールで配信しております。ぜひ一度登山学校の実技へのご参加お待ちしております。

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