2024-11-13
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雪の季節に備えるために

13(トザン)日は【AJ MALLの日】特集|安全登山のための道具術

伊藤 俊明 
ライター・編集者

本好きが高じて企画・編集会社に勤務し、アウトドアをはじめとす る趣味の雑誌編集に関わったのちに独立。思う存分スキーを楽しむ ために夏に頑張るアリンコ系ライター・編集者。インタビューや道 具の紹介、解説記事が得意分野。

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カンプは、イタリア北部のプレマナで1889年に創業しました。もともとは鍛冶屋でアイゼンやピッケルの製造からスタートし、当初は軍隊に納めていましたが、ヨーロッパ・アルピニズムの興盛にあわせてクライミングギアブランドとして成長してきました。

 現在はバックパックやヘルメットなどの登山用品も手がけていますが、同社の看板商品といえば軽量なクライミングギア。アルミニウムを巧みに使ったピッケルやカラビナは、1gでも軽いものを求めるコアなクライマーの間でも定評があります。

 アイスマスターは、そのカンプが2012年にリリースしたチェーンアイゼンです。多くの一般登山者が冬の山も楽しむようになったのを受けて登場しました。氷点下でも硬化しないシリコンラバーで着脱がしやすく、どんなシューズにもフィット。材質や爪の長さが違う4モデルを揃えています。

メリットは装着する靴を選ばず、足裏全体に爪があること

 国際山岳ガイドにしてココヘリ登山学校の学長も務める近藤謙司さんにチェーンアイゼンのメリットをたずねました。

近藤謙司さん。IFMGA認定・国際山岳ガイド。ハイキングから標高8,000mの高所登山まで、あらゆる登山スタイルのツアーを行なう旅行会社、アドベンチャーガイズ代表。エベレストの公募登山隊を組織し、これまで数々の登山者を世界最高峰の頂きへと導く。エベレスト登頂は8回。チョモランマ(エベレスト)冬季北壁最高地点(8,450m)到達は、いまなお世界記録。現在、日本山岳ガイド協会理事のほか、山の日アンバサダー、ココヘリ 安全登山学校学長も務める。

「たとえば冬の八ヶ岳で美濃戸口から赤岳山荘に向かう凍った林道。ふつうのアイゼンを履くまでもないよねっていうような場所では便利ですよね。最近はふつうのアイゼンとチェーンアイゼンの両方を持っている人も増えました。ただ、冬の赤岳に登る人はふつうのアイゼンを持っているはずなので、個人的には“アイゼン履けばいいじゃん”と思います。荷物を増やすまでもないので。

 正直にいうと僕自身はほとんど使わないんですが、歩けなくなった人のために持ち歩いています。でも、北八ヶ岳とか上州妙義や浅間付近の山々のような、雪が深くはないけれど凍っている場所や、薄氷があるような場所にはとてもいいと思います。

 年によっては北アルプスの蓮華温泉に行くような普通のルートにも6月、7月ころまで雪が残ることがあります。そのくらいになると靴もライトなものに変わってきていると思うので、そういう場面にも役に立つと思います。

 チェーンアイゼンのいいところはふたつです。ひとつは足の裏の全体に爪があること。逆におすすめできないのが、いわゆる軽アイゼンと呼ばれるもの。土踏まずだけに4本とか6本の爪があるタイプです。

 このタイプは一番はじめに接地するかかと、そして最後まで地面に付いているつま先という肝心な部分に爪がありません。それでみんな滑ってしまう。土踏まずで踏んで、土踏まずを引きあげるフラットフッティングという歩き方ができない人は、絶対的にチェーンアイゼンがおすすめです。

 もうひとつの利点は装着する靴を選ばないこと。たとえば雪が消えかける時期で行程の一部にほんの少しだけ残っているようなタイミングになると、足元はトレッキングシューズのような軽快な靴が多くなりますよね。場合によってはトレランシューズの人もいると思います。雪が緩む日中はそれでもキックステップで歩けますが、朝早い時間帯や日陰では雪が硬いので苦労します。チェーンアイゼンならそういう靴にも付けられるので安心です」

選び方と使いこなしのコツ

 カンプ製品を取り扱うキャラバンの岡 修司さんに、アイスマスターの選び方と使いこなしのコツを教えてもらいました。

岡 修司さん。株式会社キャラバン営業部主任。キャラバンシューズで知られる同社で、カンプをはじめとする世界の一流ブランドの登山用品を取り扱う。自身は熱烈な沢登りの愛好家。

 アイスマスターは4タイプあります。「R」と「エボ」は硬い雪面や凍った林道などをしっかり歩くときにおすすめのタイプ。長さ15mmの爪が13箇所に付いています。両者の形状は同じですが、Rがカーボンスチール製、エボがステンレス製でエボの方が若干軽く、ステンレスのため錆びにくくなっています。

「ライト」は文字通り軽量タイプで、爪の長さは13mm。爪の数はRやエボと同じですが、軽量化のためにプレートを簡素化しています。使うかどうかわからないけれど、念のため持っていきたいというような場面にぴったりです。

「ラン」はトレイルランニング用のモデル。走るときに地面に食い込みすぎないよう、爪の長さは8mmに設定しています。

上部をシリコンゴムにしたチェーンアイゼンの利点は合わせる靴を選ばないこと。トレランシューズのような柔らかい靴でも問題なく使用できる。装着時は靴を履いたまま、つま先側から靴下を履くように足を入れると簡単に履ける。

「装着するときは靴を履いたまま、靴下を履くように最初につま先を入れると簡単です。チェーンがねじれたりたるんだりしないように、かかとまでしっかり入れてください。小さい靴に大きいアイゼンを付けると破損の原因になるので要注意です」

ふつうのアイゼンに比べるとコンパクトで軽いので、不安があるときに躊躇なく装備に加えられるのもチェーンアイゼンのメリット。ファスナーで開閉するセミハードケースには水抜きの穴があり、濡れたまま収納しても湿気がこもりにくい。

 製品には、コンパクトに収納できるセミハードのケースが付属しています。滑りそうな場面ですぐに装着できるよう、バックパックの取り出しやすいところに入れておくのがおすすめです。

カンプ/アイマスター・シリーズ

アイスマスター R

長さ15mmの爪を前足に8箇所、かかとに5箇所の計13箇所に配置したチェーンアイゼン。カーボンスチール製のスタンダードモデル。

適合サイズ(重量ペア):S=36~38(425g)、M=39~41(433g)、L=42~44(442g)、XL=45~47(450g)

※すべてEURサイズ

アイスマスター エボ

爪の形状や配置はRと同様。ステンレススチール採用で錆びにくい。

適合サイズ(重量ペア):S=36~38(425g)、M=39~41(433g)、L=42~44(442g)、XL=45~47(450g)

※すべてEURサイズ

アイスマスター ライト

爪の長さを13mmにした軽量モデル。爪の数はRやエボ同様だが、前後のプレートは簡素化して軽量・コンパクトにしている。お守り代わりに持つならこちら。

適合サイズ(重量ペア):S=36~38(270g)、M=39~41(278g)、L=42~44(292g)、XL=45~47(302g)

※すべてEURサイズ

アイスマスター ラン

冬季のランニング用。長さ8mmの爪は地面に食い込みすぎず、ステンレススチールのマイクロチェーンは足裏感覚も掴みやすい。

適合サイズ(重量ペア):S=36~38(172g)、M=39~41(178g)、L=42~44(188g)、XL=45~47(198g)

※すべてEURサイズ

(文=伊藤 俊明 写真=岡野朋之)

↓より安全で快適な登山を。掲載した「カンプ/アイスマスター」の詳細はこちらから↓

カンプ/アイスマスター

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