2023-11-13
まで
熱は「放射」「対流」「伝導」という3つの方法で移動します。これを熱移動の三原則といいます。登山者の場合、熱が移動することでリスクが増すのは、熱が奪われるときです。何もしないでいても体から熱が放出されるのが「放射」、風を受けてクールダウンするのが「対流」、岩に触れたときにひんやりと感じるように、物と物が接したときに熱が高い方から低い方へと移動するのが「伝導」です。インサレーションウェアは、このうちの伝導を利用した保温着です。私たちの身近にあって、すぐ手に入るものでもっとも熱を伝えにくい「空気」で壁をつくり、外の冷気をブロックします。熱の伝えやすさを数値化した熱伝導率をWikipediaで見てみると、羊毛が0.05であるのに対して空気は0.0241とおよそ半分。ちなみに、「濡れると熱を奪われやすい」とされる水の熱伝導率は、0℃で0.561。0℃の水で濡れていると、乾いているときの20倍以上の早さで熱が奪われるということです。空気の壁がいかに有効か、水に濡れることがいかに危険か、この数値を見るだけでもわかります。