【連載企画】COCOHELI STORIES 「いってきます」と「おかえりなさい」の間に。
Vol.22 第27回植村直己冒険賞を受賞した若き登山家野村良太さん。ワンダーフォーゲル部で出会った優子さんとこの秋ご結婚。ザ・新婚さんのお二人の休日にお邪魔しました。
野村さんといえばNHKの番組「白銀の大縦走北海道分水嶺670キロ」をご覧になった方も多いのではないでしょうか?そんな野村さん、さぞかし幼少期から山に親しんでいらしたのかと思いきや山に出会ったのは大学生になってから。「高校までは野球少年で、登山どころかアウトドアには全く馴染みがありませんでした。大学で北海道に来たので何か北海道らしいことをしたいなと思って部活を探していた時に“ワンダーフォーゲル?”なんだそれは?みたいな。なんとなく北海道らしいことできそうだなあというノリでヒョコヒョコ入ったら…かなりハードでした(笑)」それが野村さんと山との出会いだそうです。ご存じの通り野村さんのお仕事は登山ガイド。きっかけは大学2年の時に大雪山の縦走で大きなザックを担いで歩いていた時にガイドの先輩に「大きな荷物担いでいるね。今度うちでアルバイトしない?」って声をかけていただいたこと。「みんなどうするどうする?となっている中で僕だけがホイホイ電話番号を渡していました(笑)。それが今につながる第一歩でした。そこからガイドにはどうしたらなれるのかを考えるようになり、結局就職せずに登山ガイドに。周りには一度就職してから考えても遅くないって言われていたのですが」やりたいことをやりたいからこの道を選んだんだ、とおっしゃっていました。
「積雪期単独北海道分水嶺縦断はガイドとしての自信をつけるためのチャレンジだったけれど、色々なご縁が繋がってNHKの番組になりました。その上植村直己冒険賞をいただけるなんて…びっくりしました。勝手に一人で挑戦するつもりだったのですが、僕は運がいいみたいです」と野村さん。内容はNHKオンデマンドで視聴できますので是非ご覧ください。
ココヘリ入会のきっかけを伺うと、「大学時代から団体保険に加入していましたが、OB3年目にいろいろと調べた上でココヘリに入会しました。いつもココヘリを持ち歩いて、どこへ行くにもザックに着けています。命綱だと思っているので、自分の中で大きなチャレンジとか、さあいくぞ!という計画の時は必ず充電満タンにして出発します」もちろん分水嶺の時にも、帰りを待つ優子さんに「1週間以上連絡途絶えたらココヘリへ通報を」と約束して出発。実は連絡が4日間途絶えたことがあったそうですが、「天気予報などを見て、この天気だから電波の届かないところで停滞しているのだろうなと思ってあまり心配はしていなかったです。ココヘリがあるのでもしもの時は探してあげられるなと思っていました。使ったことはまだないですけどね」と優子さん、頼りになります。
「少しでもでも見つけられる確率が上がるなら持っておこうと。何かあった時に行方不明で終わるのと、遺体でも発見してもらえるのとでは雲泥の差がある。山に行く人は持たなければいけないと最初から思っていました。もちろん万が一は起きないようにしなければいけませんが、行方不明のまま終わるのはもっとまずいですから。また、極限まで荷物を減らした分水嶺チャレンジではあの小ささも魅力でした。雪崩ビーコンぐらい大きいのを持たされるとしたら少し抵抗がありますが、あのサイズでバッテリーが2カ月もって、それで優子が安心してくれるなら喜んで持ちます。」と野村さん。
多くの時間を山で過ごす野村さんが安全登山の上で大切にしていることは、「せっかく来たのでここで撤退したらもったいない、という考えを捨てることです。登山において主導権は常に山の側にあると思っています。人間の都合で行動判断をしないことを常に意識しています。お金や時間を多く費やした時ほどこの意識が大切ですね」とおっしゃっていました。NHKで放送された「未踏峰への挑戦」でヒマラヤへチャレンジした野村さん。「今回は登頂できなかったけれど、自分のできないことがたくさん見えたし得るものが多かった。あんなに思い通りにいかなかったのに楽しかった。まだまだ行ってみたい。まずヒマラヤ。アラスカにも行ってみたかったり、南極に行ってみたかったりと色々あるのですがまだ若いから全部行きます‼」と笑顔の野村さん。「お家にいる時間が短くてさみしいですね」と優子さんと話していると、得意げに満面の笑みを浮かべて「僕1年の半分も家にいるんですよ。優子がベースキャンプです(笑)」と野村さん。「え…野村さんそれ少ないですよ。なんで自慢気なんですか」と優子さんと大笑いしてしまいました。
好奇心旺盛でチャレンジを続ける登山家野村良太さんと優子さん。そのチャレンジにココヘリはこれからも寄り添っていきます。
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