【連載企画】COCOHELI STORIES 「いってきます」と「おかえりなさい」の間に。
Vol.17 医療従事者であり、休日には山梨県の「山岳医療パトロール」中心メンバーとしてだけではなく様々な地域で山岳医療ボランティア活動を通じた山の安全を守る活動をなさっている望月さん。そんな望月さんの休日にお邪魔しました。
今も休日の多くの時間を山で過ごす望月さん。そんな望月さんと山との出会いは、小学1年生の春に高校時代山岳部だったお父様に連れられて登った奥多摩の三頭山だそうです。大人になってからも山が好きで年間20-30回は山に登り、ある時山で怪我をしてリハビリを受けたことをきっかけに「理学療法士」を志したそうです。腰の骨を折る大怪我をしていても自力で下山するほどの“ド根性”の持ち主である望月さん。持ち前の根性で昼はIT技術者として働きながら夜は専門学校に通う日々を送りながら資格を取得。昨年には日本登山医学会認定医講習を理学療法士としては全国で唯一修了なさったそうです。プライベートでも大学の山岳診療所、八ヶ岳、日向山の山岳医療パトロール、北岳の山岳医療ボランティア、伯耆大山の山岳医療パトロールなど様々な山岳医療活動をなさっている望月さん。今回は「山岳医療パトロール」の代表稲田さんと副代表豊蔵さん、そして望月さん3名の皆さまと行った山での医療パトロール活動に同行させていただきました。私たちココヘリも「山岳医療パトロール」の安全登山活動を支援させていただいています。
望月さんの山行スタイルは、里山ハイキングから山菜採り、テント泊縦走、沢登り、トレイルランニング、ロッククライミング、雪山登山、アイスクライミング、山スキーなどなど…あらゆる方法で山を楽しんでいらっしゃいます。山に行くときは、その山行が妥当であるかどうかを検証し、必ずオンラインで登山届を提出する、ココヘリの受信機は必ず持参する、紙の登山計画書と、予定ルートのGPSデータをスマートフォンにダウンロードする、雨具、ヘッドライト、電池と靴紐の予備は必ず持参するなど、事前準備をしっかりとやることだそうです。
山でどんな時に家族を思い出すかをお伺いすると、「厳しいルートを登りきったとき、さあ、これから帰るぞと思うと必ず妻の顔が思い浮かびます。妻と一緒に山に行くことも多いですが、冬の難しい山やクライミングなどには連れていけないので別行動になることもあります。しかし、最後に帰る場所はやはり妻のところだと思います。仕事をしながら学生をしていたころや、その前の色々と大変だった時期にもずっと支えてもらったので、やはり最初に思い浮かぶのは妻の顔です」と望月さん。奥様にもココヘリについて伺うと、「一緒に行くことが多いけれどそれぞれココヘリを持っています。何が起こるかわからない山の中で、もしもの時探す手段になるので、彼がひとりで行くときは心の支えになっています」とおっしゃっていただきました。
ココヘリ入会のきっかけを伺うと、「電話が通じないエリアでの厳しい山行をきっかけに、もしもに備えてその山行メンバーでもあった妻と一緒にココヘリへ入会しました。実はその時の厳しい山行で、私たちのパーティで死亡事故が起こりました。その地点では偶然にも微弱な携帯電波が入ったので警察に連絡できましたが、もし圏外で、かつココヘリに入っていなかったら…そう考えると戦慄を覚えます」とココヘリが必要なものだと痛切に感じた時のことを話してくださいました。
望月さんにこれからの挑戦についても伺いました。「理学療法士として臨床経験を重ね、日本登山医学会に所属していることを活かして、関連学問の専門家と連携して登山の運動的技術を明確にすることです。登山人口は年々増加していて、登山と運動療法の相関性を高めることはとても重要です。この分野の理学療法士によるアプローチは決して多いとは言えない。同時に登山ガイドも目指していて、その活動を通じて伝承可能な登山の技術を確立させたいと思っています。それと、登山と健康寿命の相関性を追求することです。これから一層進む高齢化社会で、健康寿命を延ばすことは社会の活性化にも繋がります。そのための四要素「適度な運動」「心の健康」「五感による感動」「規則正しい食事」のうち、最初の三要素は登山で達成できると思っています。私は社会的に中年と呼ばれる年齢域にいますが、既成概念にとらわれず、温故知新の心で、中高年と若年の世代を橋渡ししたいと思っています」と熱い想いを聞かせてくださいました。
「健康を保ちながら長く安全に山に登り続ける」ことに心血を注いでいる望月さん。そのチャレンジにココヘリは寄り添いつづけます。
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